特定非営利活動法人 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会(若手外科系医師を増やす会)

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく

手術のやりがい・尊さを再発見
~平成24年11月24日に"きみが外科医になる日"セミナー大阪を開催~

目次

医学と工学の連携で手術がさらに魅力的に
国際医療福祉大学 学長 慶應義塾大学 医学部名誉教授 北島 政樹先生

慶應義塾大学の創設者である福澤諭吉は、今から100年以上前からすでに、腹腔鏡を使った手術がいずれ可能になることを予見し、医学は外科から発展・進歩すると記している。また福澤は、外科分野への女性の進出についても肯定的だった。慶應の女性 外科医として有名な人物の中には、宇宙飛行士の向井千秋先生もいる。
かつて、ハーバード・メディカル・スクールとMGH(Massachusetts General Hospital)で学んだときに感じたことは、医学と工学の連携は欠かせないということだ。慶應でもアジアで先駆けて外科手術ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入したほか、医学部と理工学部が連携して触覚をもつ鉗子を開発するなど、医学と工学は密に連携している。
外科というのは「患者を自分の手で助けられた」というやりがいや達成感を感じやすい科だ。外科の最前線にいたころ、私が手術をした子どもが成長し、自分が大学を辞める時に手紙をもらった。このような感動は外科医ならではだろう。もう一度生まれ変わっても医師になり、また外科の世界に飛び込みたい。

北島 政樹先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

北島 政樹 先生
北島 政樹(きたじま まさき)先生
特定非営利活動法人 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会 副理事長
国際医療福祉大学 学長
慶應義塾大学 医学部名誉教授
(1941年8月2日生)

学歴

1966年
慶應義塾大学医学部 卒業

職歴

1967年10月
慶應義塾大学 医学部外科学 助手
1975年4月
Harvard Medical School &amb; Massachusetts General Hospital 外科フェローとして2年間留学
1989年4月
杏林大学 第一外科 教授
1991年5月
慶應義塾大学 外科学教室 教授
1999年10月
慶應義塾大学病院 病院長
2001年7月
慶應義塾大学 医学部 医学部長
2007年4月
慶應義塾大学 医学部 名誉教授/
国際医療福祉大学 副学長/
三田病院 院長(2009年5月退任)
2009年7月
国際医療福祉大学 学長

所属学会

  • 日本外科学会 第100回日本外科学会総会 会長
  • 日本コンピューター外科学会 理事長
  • 日本ハンガリー外科学会 会長
  • 元日本内視鏡外科学会 理事長
  • 元日本癌治療学会 理事長
  • 日本膵臓学会
  • 日本移植学会
  • 日本肝移植研究会
  • The American College of Surgeons (ACS) Honorary Fellow, Past Governor of Japan Chapter
  • The Royal College of Surgeons of England (RCS) Honorary Fellow
  • German Surgical Society Honorary Fellow
  • International Gastric Cancer Congress (IGCC) Council Member/Past President
  • 6th International Gastric Cancer Congress Congress President
  • International Society of Surgery (ISS/SIC) Past President
  • 42nd World Congress of the International Society of Surgery ISS/SIC, International Surgical Week (ISW2007) Congress President
  • International Society for Digestive Surgery (ISDS) Past President
  • 11th World Congress of Endoscopic Surgery (11WCES) Honorary President
  • The New England Journal of Medicine(2002~), Langenbeck's Archives of Surgery(2002~) Editorial Board Member
  • ポーランド国立ヴロツワフ大学名誉医学博士(平成23年(2011) 10月)
  • ハンガリー国立センメルワイス大学名誉医学博士(平成23年(2011) 11月)
  • 文科省文化審議会委員(文化功労者選考分科会)
  • 日本学術会議会員(第19期・20期・21期)【第21期第二部副部長】
  • その他多数

私が心臓外科医になった理由
大阪大学大学院 心臓血管外科 河村 愛先生

私が外科医になったのは、ある男性患者の死がきっかけだった。ポリクリの時、心臓に疾患を持つある患者の担当となった。手術を始める前に病状や術式などを聞いていたが、それがどういうことなのかまだピンと来ていなかった。20時間近い手術ののち、翌日にその男性患者は亡くなった。外科医になった今であれば、あの患者がどのような状況にあるのか理解できるが、とにかくその当時は何をしていいのか分からず、患者のベッドサイドで涙が止まらず、おろおろとしていた。外科はこんなにつらい体験をしなければならないのか、とも思った。だがその男性患者の妻が私の手を取り、「手術を最後まで見届けてくれてありがとう。頑張って勉強して、いいお医者さんになってね」と言ってくれた。その一 言が、私の人生を変えたと思っている。
今は心臓血管外科で、重症心不全の患者を中心に担当している。心臓外科は、患者の命との距離が短いダイナミックな科だと思っている。若手の女子医学生からは「女性でも心臓外科医になれるか?」と聞かれることがある。まだ駆け出しなので、正直自分でも10年後15年後にどうなっているのかは分からないが、「一生懸命やれば何とかなる!」とアドバイスしている。

河村 愛先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

河村 愛 先生
河村 愛(かわむら あい)先生
大阪大学大学院 心臓血管外科
(昭和56年9月30日生)

略歴

平成12年
京都教育大学教育学部附属高等学校 卒業
平成19年
大阪大学医学部医学科 卒業
平成19年
大阪警察病院 初期臨床研修医
平成21年
大阪警察病院 外科レジデント
平成22年
大阪警察病院 心臓血管外科レジデント
平成23年
大阪大学医学部付属病院 非常勤医員
平成24年
大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科 博士課程学生

所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本心臓血管外科学会
  • 日本胸部外科学会
  • 日本血管外科学会

消化器外科医を志して
大阪大学大学院 消化器外科 三代 雅明先生

「人の役に立ちたい」という思いから医師を志した。初期研修は箕面市立病院に行った。そこで外科をローテートして、初めて本格的に外科の世界を体験した。思っていた以上に患者の役に立つという実感が大きく、手術そのものも興味深かった。当時は腹腔鏡手術でカメラ持ちをしていたが、それだけでも十分にやりがいを感じていた。当時は外科にまったく興味がなかったが、指導医から強く勧められたことを契機に外科へと進んだ。
医師不足が叫ばれて久しいが、外科医はさらに深刻だ。30歳以下の外科医は、1996年の約3100人から2004 年の約 2100人と、約33%減少している。外科医が不足していることや、職場の同期に恵まれたことが、消化器外科に進むことを後押ししてくれた。
後期研修も箕面市立病院で行った。最初は鼠径ヘルニアや虫垂炎の手術からスタートした。今では大腸がんの手術も担当できるようになった。ベテラン外科医がメスを振るっているところを見ると簡単そうだが、実際に執刀すると全然違うことが分かる。仕事は大変だが、やりがいがある。特に、患者が元気になったところを見ると、外科を選んで良かったと実感する。

三代 雅明先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

三代 雅明 先生
三代 雅明(みよ まさあき)先生
大阪大学大学院 消化器外科
(1982年9月5日生)

略歴

平成19年3月31日
大阪大学医学部医学科 卒業
平成19年4月1日
箕面市立病院 初期研修医
平成21年4月1日
箕面市立病院外科 レジデント
平成24年4月1日
大阪大学大学院消化器外科学講座 入学

米国での心臓外科研修
大阪大学医学部 心臓血管外科
Northwestern University Division of Cardiothoracic Sergary
武田 浩二先生

「心臓外科医にとって臨床留学は必要か?」 というテーマについて話す。私は医師になりたてのころから海外研修にあこがれていた。当時は海外留学の希望者は多かったが、今はそうではないようだ。体験に基づいて言えば、英語などの語学は苦労するが最終的に何とかなる。また、妻をはじめとした家族の同意も得なければならない。留学資金も重要だ。臨床留学しても一般的にトレイニーの給与は安く、卒後1年目は日本円約400万円、7年目でも約520万円にしかならない。
米国において胸部外科の領域は売り手市場で、たとえ有名大学でも、外国人外科医に対し門戸が開かれている。私は非正規フェローの枠で、ノースウェスタン大学にいる。現在は朝5時半にICUを回診し、6時半にNP(ナース・プラクティショナー)に申し送りして、7時に手術開始する。1~2例の手術をして、早ければ17時には帰る。1か月あたり4~8回の当直は大変だが、日本とは違って当直明けが休みなのはありがたい。
米国に22か月いて、346ケースをこなした。米国の研修医は恵まれていると感じる。豊富な症例数を体験できる一方で分業化が進んでおり、手術以外の負担はかなり少ない。日本でも手術は学べるが、海外に出ると客観的に日本の医療を感じることができる。留学をした方がいいかと問われると、自信を持って「YES」と答える。

武田 浩二先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

武田 浩二 先生
武田 浩二(たけだ こうじ)先生
大阪大学医学部 心臓血管外科
Northwestern University Division of Cardiothoracic Sergary
(昭和48年生)

略歴

平成11年
大阪大学医学部卒業、第一外科 入局
平成12年~14年
大阪厚生年金病院 外科 レジデント
平成14年~17年
国立循環器病センター レジデント
平成17年~21年
大阪大学附属病院非常勤・同大学院
平成21年~22年
桜橋渡辺病院心臓血管外科医員
平成22年~24年
ノースウェスタン大学心臓外科フェロー
平成25年~
コロンビア大学心臓外科インストラクター

ある外科系女子のこれまで
九州医療センター 肝胆膵外科部長 心臓血管外科 高見 裕子先生

私はもともと薬剤師として救急病院に2年間勤務していた。そこで救急医療の現場を見ているうち、「医師とは何か?」「外科とは何か?」について考えるようになり、一念発起して医学部に入りなおした。外科医志望として、医学部5年の冬休みにある大学に行ったところ、外科医から「何だ、女か」と言われた。一方、長崎大学にいた兼松 隆之先生に会いに行ったら「外科医にとって男性だとか女性だとかいうのは関係ない。ぜひうちに来なさい」と言われて、長崎大学の医局に入った。
祖母が肝臓がんでなくなったことをきっかけに、専門を肝胆膵とした。その時、兼松先生から「福岡にある九州医療センターに行き、才津くんの肝臓手術を見てこい」と言われた。当時、才津秀樹先生は、肝機能が悪くて切除できない患者に対して、マイクロ波凝固壊死療法 (MCN)という治療を施していた。そのうち才津先生の技術に興味を持ち、医局を離れて九州医療センターで本格的にMCNを学んだ。
他の外科医からは「(肝臓を)切れないから焼いてるのでは?」「焼き肉療法」と言われたことで発奮し、高度技能専門医の取得に躍起したこともあった。自分の思うがままに進んできたが、今は教育する側でもあるので、後輩の視線にプレッシャーを感じながら、日々邁進している。

高見 裕子先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

高見 裕子 先生
高見 裕子(たかみ ゆうこ)先生
九州医療センター 肝胆膵外科部長
(昭和40年9月24日生)

略歴

愛媛県今治市出身(今治西高)

1988年3月
九州大学薬学部 卒業
1990年4月
長崎大学医学部 入学
1996年3月
長崎大学医学部 卒業
1996年5月~1997年3月
長崎大学第2外科研修医
1997年4月~1998年3月
九州医療センター外科研修医
1998年4月~1999年3月
長崎県立島原温泉病院外科医
1999年4月~2000年3月
長崎労災病院外科医
2000年8月~2002年3月
国立療養所村山病院外科医
2002年4月
九州医療センター肝臓病センター 外科専任レジデント
2002年9月
同肝臓病センター外科スタッフ
2011年7月
同肝臓病センター肝胆膵外科科長

所属学会

  • 日本外科学会認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 日本肝臓学会認定肝臓専門医
  • 日本消化器病専門医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 消化器がん外科治療認定医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医

わが国におけるロボット支援手術の現状と将来展望
東京医科大学 泌尿器科 主任教授 橘 政昭先生

患者にとって負担の少ない低侵襲手術が一般化して腹腔鏡手術が増えているが、一般的には難易度が高く、習熟するための期間も長い。また、2Dの内視鏡のため遠近感がない。一方で医療用ロボット「ダ・ヴィンチ」は、遠隔操作ができ、3D表示や視野を拡大が可能だ。鉗子の操作は自由度が高いだけでなく、手ぶれを自動的に補正してくれるというメリットもある。
ダ・ヴィンチの手術の約6割が泌尿器で、その9割が前立腺全摘術で使われている。前立腺の手術はスペースが狭いため、ロボットによる手術のメリットを活かしやすいからだ。婦人科領域でも伸びていて、子宮全摘手術での利用が増えてきた。これまでは保険診療外だったにも関わらず、当院では2011年で228例中222例の患者が、ダ・ヴィンチを使った前立腺全摘術を望んだ。2012年度の診療報酬改定で、ダ・ヴィンチによる前立 腺悪性腫瘍手術が保険適用されたほか、10月にダ・ヴィンチSIが薬事承認を受けた。
ロボット手術が一般化すれば、術者と医学生が同じ術野を共有できるメリットもある。遠隔地手術が進むと、外科医の疲労も軽減される可能性がある。外科医が3Kの職業ではなくなる世界が、近い将来に実現するかもしれない。

橘 政昭先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

橘 政昭 先生
橘 政昭(たちばな まさあき)先生
東京医科大学 泌尿器科 主任教授
(昭和25年6月13日生)

略歴

昭和51年3月
慶應義塾大学医学部 卒業
昭和51年5月
應義塾大学医学部訓練医(泌尿器科)
昭和53年7月
慶應義塾大学医学部医員・大学助手(診療)(泌尿器科学)
昭和55年7月
慶應義塾大学助手(医学部泌尿器科学)
昭和58年2月
米国ニューヨーク医科大学泌尿器科研究員
昭和61年4月
慶應義塾大学病院診療科医長(泌尿器科)
昭和63年4月
慶應義塾大学専任講師(医学部泌尿器科学)
平成11年4月
慶應義塾大学助教授(医学部泌尿器科学)
平成12年4月
東京医科大学主任教授(泌尿器科)

所属学会

  • 日本泌尿器科学会(評議員・指導医・幹事)
  • 日本ヒト細胞学会(理事・評議員・編集委員)
  • 日本透析医学会(認定医)
  • 日本腎臓学会(認定医)
  • 日本癌治療学会(代議員)
  • 日本癌学会
  • 日本ロボット外科学会(理事)
  • 国際泌尿器科学会
  • アジア泌尿器科学会
  • American Urological Association
  • American Association for Cancer Research

肝胆膵外科医からのメッセージ
京都大学 医学研究科 外科学講座(肝胆膵・移植外科分野) 教授 上本 伸二先生

外科医にとっての希望は様々だ。「多くの手術を覚えたい」「救急医療できるようになりたい」「研究したい」「地域医療に貢献したい」など色々ある。私から言えることは、ぜひ「考える外科医」になってほしいということだ。マニュアルを遵守することは外科医にとって当然だが、加えて、自ら考えて行動する論理的思考が大事だと思う。そのためには、最初は適切な指導を受け、先輩の上手な手術を評価しながら、じーっと観察することが肝要だ。先輩外科医の手術を自分のものにして、次に、それを上回る自分なりの手術方法を編み出していかなければ進歩はない。技術を継承 するだけでなく新たな発想をするには、論理的思考力がカギとなる。
また、「決断できる外科医」になることも大事だ。経験から言えば、自分の決断に80%以上の確信がない時は先輩に相談する方がいい。自分だけの狭い視野だけでなく、他人の決断経験をうまく利用してほしい。さらに「社会人として適正な外科医」になることも忘れてはならない。だが、社会常識を養うのは意外と難しい。医師の大半はエリートで、失敗や挫折の経験が少ないからだ。患者との関わりの中で悩み、苦しみ、エリートの殻を打ち破る経験ができれば本物になれる。一昔前の非常識が、今は常識へと変わっていることは多い。一か所に安住せず、患者とのトラブルを正面から捉え、未来を切り開く外科医になってほしい。

上本 伸二先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

上本 伸二 先生
上本 伸二(うえもと しんじ)先生
京都大学 医学研究科 外科学講座(肝胆膵・移植外科分野) 教授
(昭和31年12月18日生)

略歴

昭和50年3月31日
愛媛県立松山東高等学校卒業
昭和56年3月31日
京都大学医学部卒業
昭和61年4月1日
京都大学医学部大学院入学(外科学専攻)
平成2年3月31日
大学院単位認定修了
平成4年3月23日
医学博士号取得
昭和56年5月22日
医師免許証取得
昭和56年6月1日
京都大学医学部外科学教室入局
昭和57年1月1日
兵庫県立塚口病院勤務
平成2年5月1日
京都大学医学部第2外科
平成5年10月16日
イギリス(ハマースミス病院)留学
平成6年12月16日
京都大学医学部第2外科助手
平成11年4月16日
京都大学医学部附属病院臓器移植医療部 助教授
平成13年12月16日
三重大学医学部外科学第1講座 教授
平成18年4月1日
京都大学医学研究科外科学講座(肝胆膵・移植外科学分野)教授
平成23年4月1日
京都大学医学部附属病院副病院長(教育・研究・地域連携)
京都大学医学部附属病院探索医療センター長

所属学会

  • 日本外科学会次期会頭(平成24年度)
  • 日本肝移植研究会会長(平成23年度~平成26年度)
  • 日本肝胆膵外科学会評議員
  • 日本外科感染症学会評議員

外科領域の先進医療 ~移植、人工臓器、そして再生医療~
大阪大学大学院 医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科 主任教授
澤 芳樹先生

現在、年間10万 人近い心不全の患者が発生し、そのうち1000例くらいは心臓移植が必要になっている。だが国内では、約30か所しかそれに対応できる医療機関がないし、臓器提供者(ドナー)も多くないのが現状だ。脳死法案が2010年に改正されて、それまで5件前後で推移していた心臓移植が、ようやく年間30例くらいまで増えてきた。大阪大学では、小児心臓移植を今年の6月に初めて実施したが、これまで国内でまだ3 例しか事例がない。そこには、国内の文化的・宗教的背景も影響している。
一方、心臓手術における技術は大きく発展してきた。補助人工心臓(LVAD)は、従来型だと良くて約3年間の生存だったが、現在の埋込型補助人工心臓では生存期間が3 年以上に伸びた。LVADによって生存期間が延びればドナーが見つかる可能性が増し、心臓移植につなげられる可能性が出てくる。
近年は、「筋芽(心筋)細胞シート」を使って足の筋肉を心臓に移植する技術がさかんになってきた。大阪大学では、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中 伸弥教授(京都大学)とも共同研究し、iPS細胞を用いた心筋細胞シートを使って心機能回復させる研究を進めている。すでに動物実験はクリアした。
外科のニューパラダイムは始まった。医療技術は日々進歩しており、外科医にとってやりがいのある世界が広がっている。ぜひ外科医を目指し、国際的に活躍できる人材へと成長してほしい。

澤 芳樹先生の公演内容はこちら(YouTube)

演者略歴

澤 芳樹 先生
澤 芳樹(さわ よしき)先生
大阪大学大学院 医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科 主任教授
(昭和30年7月3日生)

略歴

昭和55年3月
大阪大学医学部卒業
昭和55年4月
大阪大学医学部第一外科入局
昭和58年1月
大阪府立母子保健総合医療センター心臓外科
平成元年10月
フンボルト財団奨学生としてドイツMax-Planck研究所心臓生理学部門、心臓外科部門に留学
平成4年2月
大阪大学医学部第一外科助手
平成10年4月
大阪大学医学部第一外科講師
平成14年8月
大阪大学医学部臓器制御外科(第一外科)助教授
付属病院未来医療センター副センター長
平成18年1月
大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座
心臓血管・呼吸器外科(第1外科)主任教授 科長
平成18年4月
大阪大学医学部附属病院未来医療センター センター長
平成19年4月
心臓血管外科主任教授(外科講座再編にともなう)科長
大阪大学医学部附属病院病院長補佐
平成22年5月
大阪府医師会 副会長
平成22年6月
大阪大学臨床医工学融合研究教育センター センター長
平成23年1月
内閣官房 医療イノベーション推進室 次長
平成24年4月
大阪大学医学部附属病院 副病院長(研究・診療体制担当)
京都大学iPS細胞研究所 特任教授
平成24年8月
大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部 部長

学位

医学博士 昭和63年3月取得
"Ultrastructural assessment of the infant myocardium receiving crystalloid cardioplegia." Circulation. 1987 ; 76 : V141-V145

専門分野

外科学、胸部外科学、心臓血管外科学、心筋保護、心臓移植、心筋代謝、人工臓器、遺伝子治療、再生医療、組織工学

免許その他

昭和55年5月
医師免許証
昭和60年
外科認定医
平成10年
胸部外科認定医
平成11年
外科指導医、胸部外科指導医
平成16年
心臓血管外科専門医
平成17年
心臓血管外科専門医認定施設責任者

所属学会

日本外科学会(副理事長)、日本胸部外科学会(監事)、日本心臓血管外科学会(理事)、日本循環器学会(理事)、日本心臓病学会、日本脈管学会(理事)、日本人工臓器学会、日本心不全学会(理事)、日本小児外科学会、日本小児循環器学会、日本移植学会(理事)、日本外科連合学会、国際心臓学会、日本臓器保存生物医学会(理事)、日本適応医学会、日本組織工学会、日本遺伝子治療学会、日本再生医療学会(理事)、日本バイオマテリアル学会(理事)、日本組織工学会、日本医工学治療学会(理事(副理事長))、日本冠疾患学会(理事)、 日本心臓血管内視鏡学会(理事)

セミナー当日の様子

Copyright © 日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会. All Rights Reserved.

ページの先頭へ